2021.01.29
AI内視鏡の問題点
昭和25年に管状内視鏡である胃カメラが開発され、その後、管の細径化、CCDなどによる画像の向上、それに伴う拡大診断などさまざまな進歩がなされている。また、治療においても、ポリープ切除器具であるスネアーの発展に加え、ESDなどの治療方法の進歩によるさまざまなデバイスの開発が行われている。
これらの内視鏡の進歩は、そのまま大腸内視鏡においても行われている。
胃と異なり、大腸においては腺腫である隆起性病変に遭遇する場合が多く、切除されることが基本となる。
ただ、切除の必要性を有しない過形成ポリープも一部存在するため、診断時の経験には熟練を要する。
また、大腸癌の予防には、ポリープ切除が有効であるが、内視鏡時に発見される癌(中間期癌 : post-colonoscopy colorectal cancer)が存在する。
これらの原因には、大腸内視鏡検査の見逃しが大きな要因となっており、その頻度は術者の経験に左右されるため、精度の高い検査が安定して施行されるのが理想的である。
そのため、近年、経験の少ない術者でも判断できるように内視鏡人工知能(artificial intelligence : AI)の開発が進んでいる。
大腸内視鏡時におけるポリープの発見を支援するCAD(computer-aided diagnosis)システムも開発されている。
ただ、従来は切除不必要とされていた過形成ポリープ病変において、深部腸管に発生した場合や病理学的に鋸歯状変化を伴う病変に対しては将来癌化する危険性も指摘され、その判断をAIに求める可能性についての議論も必要となる。