原因
心窩部の痛みは、胃酸の逆流による食道下部の炎症による場合が多いです。
上腹部の痛みは、胃内部自体の炎症により発生しますが、原因は、ピロリ菌の他、ストレス・飲酒・喫煙などがあります。
内視鏡所見としては、ビランなどの炎症所見や胃潰瘍なども見られます。
右季肋部付近の痛みは、十二指腸に炎症を認めることが多く、胃外所見としては胆石による場合があるため超音波検査などが必要です。
胃酸の逆流により発生します。
胃粘膜は、防御因子である粘液を産生し、強酸である胃酸から守られています。
しかし、食道は防御因子である粘液に守られていないため、胃酸が逆流すると粘膜が障害を受け、胸焼けなどの症状が発生します。
考えられる病気
逆流性食道炎
食事の欧米化により、脂っこい食事が多いと胃酸が過多に分泌され食道へ胃酸が逆流しやすくなります。
症状としては、初期には、胸焼け・胸痛などが起こります。
やがて、喉が詰まるような嚥下障害に症状が変化し、放置しておくと、胃酸による喉の炎症により咳が出るようになり、咳喘息へ移行する場合もあり、症状は多岐に渡ります。
胸焼け症状と嚥下障害症状は一見異なる症状に見えますが、原因は同じ胃酸の逆流により発生する病態です。ただ、初期は胸焼け症状が前面に現れますが、やがて飲み込みにくいなどの嚥下障害に変化します。
最近は、ピロリ菌の除菌により逆流性食道炎の患者様が増加しています。
ピロリ菌は、ウレアーゼという酵素によりアルカリ性であるアンモニアを発生させて胃酸を中和させ、自身の周囲だけは中性状態を保ちながら胃内部で生存しています。
除菌療法により、ピロリ菌が消滅するとアンモニア成分が消失し、相対的に胃酸が増加した状態になり、逆流性食道炎が発生しやすくなります。
胸焼け症状があるが、内視鏡的にびらんなどの所見を認めない非びらん性胃食道逆流症でも上記と同様の症状が出ます。
胃潰瘍
発生要因はピロリ菌感染です。 幼少時に経口感染することが多く、胃潰瘍を発生させます。 除菌薬の服用により、90%以上にピロリ菌の消失を認め、除菌後はまず再発を認めません。
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除菌
↓除菌
必要な検査
早めの胃カメラ検査が必要です。
治療
薬物療法
PPIという制酸剤が効果的です。
一日一回の服用で症状は減弱したり消失します。
生活習慣の改善
脂っこい食事を控えるなど食生活改善が必要です。
食道裂孔ヘルニアがある場合は、逸脱した胃上部が腹腔内へ降下したり、食道下部括約筋が締まることは少ないため、特に夕食を早目に摂ります。
また就寝時はなるべく仰臥位や左側臥位により夜間の胃酸逆流を防止できます。
胃痛が続く場合は早めに当院へご相談下さい。
<監修責任者>
医潤会内視鏡クリニック 理事長 中西弘幸