発生要因はピロリ菌感染です。幼少時の経口感染により、長年にわたって胃粘膜を侵食した後、萎縮を引き起こし、やがて胃癌が発生すると考えられています。
胃癌患者の90%以上にピロリ菌感染や感染既往が認められます。胃癌は、胃壁内部粘膜の腺細胞が癌化したもので、進行するにつれ粘膜下層、固有筋層、漿膜へ深く進み、漿膜外部の大腸や膵臓にも浸潤し、血行性に肝臓などへ遠隔転移も起こします。
また、腹腔内に癌細胞がこぼれると上下腹部全体に広がる腹膜播種を発生させ、やがて腹水の貯留を認めるようになります。
胃癌の年間発生数は約135,000人で、男性に多い傾向にあり、50歳ごろから増加して80歳代でピークを迎えます。男性では最も多く、女性では3番目に多い癌です。主な症状は上腹部痛、違和感、食欲不振などです。
また、胃癌潰瘍底からの出血による貧血や黒色便が認められる場合もあります。
早期癌に対しては内視鏡的切除術(ESD)が行われます。
(早期胃癌)
噴門部に発生した進行癌には胃全摘術、体中部より肛側に発生した進行癌には前庭部切除が行われます。遠隔転移を起こしている場合は抗癌剤治療が施行されます。
<監修責任者>
医潤会内視鏡クリニック 理事長 中西弘幸