便秘症の方で、長期間、刺激性下剤を服用している場合に大腸粘膜が黒く変色することがあり、大腸メラノーシスと呼ばれます。
沈着物質はメラニンではなく、リポフスチンと呼ばれている物質が沈着することで生じます。そのため、「偽メラノーシス」とも呼ばれています。
センナ、大黄、アロエ等のアントラキノン系下剤の長期連用が原因とされています。長期連用による変化は粘膜だけでなく、大腸の平滑筋や蠕動運動を調整する神経叢が障害されていきます。その結果、大腸は協調性のある運動(蠕動運動)ができなくなり、たるんで膨らんでしまいます。その結果、腸管自体が長くなり便秘状態をさらに増悪させて下剤の量が増えていく悪循環に陥ります。
他の緩下剤に変更し、1年間程度の服用中止で元のピンク色の大腸粘膜に戻りますが、メラノーシス自体は発がんとの因果関係はありません。
<監修責任者>
医潤会内視鏡クリニック 理事長 中西弘幸