大腸癌は、主に大腸粘膜が腫瘍化したポリープから発生し、次第に粘膜下層や壁内部のリンパ管や血管内部に侵入しリンパ節や肝臓、肺など別の臓器に転移します。
また、大腸壁外まで広がり腹腔内に播種を起こします。
年間発生数は約158,000人で、やや男性に多い傾向にあり、50歳から60歳に多く70代前半から増加して、男性では3番目、女性では2番目に多い癌です。
発生要因は、食事の欧米化が深く関係し、高脂肪食が主な原因です。
高脂肪食により分泌された胆汁酸を多く含む便により粘膜が刺激されて癌化するため、大腸癌の約8割は固形便が停滞しやすいS状結腸と直腸に発生します。
また、飲酒、喫煙などにより大腸癌の発生する危険性が高まります。
家族歴との関わりがある大腸癌も存在し、特に家族性大腸腺腫症やリンチ症候群の家系では、近親者に大腸癌の発生が多くみられます。
症状としては、下血、下痢と便秘の繰り返し、便が細い、残便管、腹部膨満感、腹痛、貧血、体重減少などがあります。さらに進行すると腸閉塞(イレウス)となり、便は出なくなります。治療としては、癌が存在する腸管により術式が変わりますが、原則、癌を含め約30から40cmの腸管を切除します。
直腸下部の進行癌に対しては、切断断端腸管を左下腹部に人工肛門が造設される場合があります。遠隔転移や腹膜播種がある場合は抗癌剤などによる治療を行います。
<監修責任者>
医潤会内視鏡クリニック 理事長 中西弘幸