食道胃接合部(esophgogastric junction :EGJ)は、機械的刺激に強いとされる重層扁平上皮に被覆された食道粘膜と、科学的刺激に強い円柱上皮に被覆された胃粘膜との境界である。

食事の欧米化による胃酸分泌の上昇や内臓脂肪の増加のため、両者のバランスが崩れ、扁平上皮が円柱上皮化し、Barrett食道を背景とした食道腺癌が本邦において発生の増加を見ている。

しかし、EGJのランドマークの定義によってBarrett食道の診断基準が異なるため、今後欧米と本邦におけるBarrett食道の検討が重要となる。

内視鏡的EGJは、欧米では胃粘膜ひだの上縁であり、本邦にでは柵状血管の下縁である。

また、生検での組織診断は、欧米では円柱上皮化生粘膜内の杯細胞の証明であり、本邦では円柱上皮の証明である。

Barrett食道においては、円柱上皮化生のような上皮の変化だけでなく、粘膜筋板や食道腺においても変化が生じる。

また、病態の有無に関連なく存在する食道固有の組織学的マーカーとして柵状血管があり、今回、EGJ領域粘膜内に存在する短径100μm以上あるいは長径1000μm以上の静脈は内視鏡的柵状血管に相当し、食道固有の組織と判定することが可能となるとの報告があり、EGJの診断基準の統一が必要となると考えられる。