2021.01.30
大腸カメラ検査時に発見される炎症性腸疾患関連性大腸癌における新WHO分類
炎症性腸疾患(IBD)は、潰瘍性大腸炎やクローン病に大別され、症例において発生する大腸癌などは、腸炎関連性大腸癌と呼称される。
Follow upには内視鏡検査が用いられるが、出血やびらんを呈した大腸炎症病変に発生するdysplasiaは発見・診断に苦慮する場合がある。
IBD前癌病変(dysplasia)分類における2017年のWHO分類におけるconventional typeとSSA/P、TSA、serrated NOSは、新WHO分類においては、それぞれintestinal type(adenoma-like)、serrated typeと称されており、serrated typeは分類されてない。
また、hypermucinous typeに相当するものはmucinous(gastric) type dysplasiaとして病理組織像が提示されている。
前述のintestinal typeとの記載を合わせると、構成細胞の細胞系列に着目してdysplasiaを胃型と腸型に分類する試みがなされたと考えられる。
この点に関しては、IBD関連腫瘍は、胃型の粘液産生を伴うことが知られており、胃型粘液の発現が亢進し、腸型マーカーのCDX2や大腸上皮マーカーのSATB2の発現が有意に低下しているが、HE染色所見のみでdysplasiaを胃型と腸型に分類するのは困難であるとの報告もある。
このように、炎症性腸疾患に起因する腸炎関連性大腸癌は、今後より一層のデータ集積や解析が必要となると思われる。