2025.10.05
ピロリ菌除菌後発がんの残存リスクと内視鏡フォローの重要性
ピロリ菌(Helicobacter pylori)は胃の粘膜に感染し、慢性胃炎や萎縮性胃炎を引き起こすことで、胃がんの主要な原因となります。日本では胃がんの約99%がピロリ菌感染に関連しているとされています。除菌によって胃がんの発生リスクは大きく低下しますが、完全にゼロになるわけではありません。除菌前にすでに胃粘膜の萎縮や腸上皮化生が進んでいるほど、除菌後も胃がんのリスクは高く残ります。
このため、除菌後も定期的な胃カメラによるモニタリングが強く推奨されます。実際に、除菌から5〜10年経過しても胃がんを発症する例が報告されています。内視鏡検査では、萎縮の範囲や粘膜の色調変化を直接確認でき、早期の段階で胃がんを発見できれば内視鏡治療による根治が可能です。年1回を目安に胃カメラによる経過観察を行い、万が一発生しても早期発見・早期治療につなげることが大切です。
再感染は稀ですが、除菌後は尿素呼気試験などで成功の確認を行うことも重要です。また、胃の違和感や健診で異常を指摘された場合には、早めの再評価をお勧めします。胃がん予防には、定期的な内視鏡検査に加えて減塩・禁煙・節酒などの生活習慣改善も欠かせません。
ピロリ菌除菌は、胃がん予防の第一歩にすぎません。除菌後も粘膜の炎症や萎縮の評価を継続し、残存リスクを可視化したうえで適切なフォローアップを行うことが重要です。