胃カメラ検査時に発見される早期胃がんは、ピロリ菌による粘膜萎縮が背景にあるため、診断に苦慮する場合がある。

今回、胃カメラ検査時に胃腫瘍性病変や食道扁平上皮癌が疑われる領域をリアルタイムに検出し、胃がん・食道がんの早期発見をサポートする内視鏡診断支援ソフトウェア「EW10-EG01」が回、ソフトウェア富士フイルム株式会社により開発された。

「EW10-EG01」は、内視鏡診断支援機能「CAD EYE(キャド アイ)」の上部消化管病変検出機能を提供するソフトウェアで、AI技術を活用して開発された。

内視鏡が食道内に入ると同時に検出支援を開始し、食道扁平上皮癌が疑われる領域を検出すると、リアルタイムにモニター上の対象領域を枠(検出ボックス)で囲って表示するとともに、報知音を発する。

また胃内でも、胃腫瘍性病変が疑われる領域を検出すると、検出ボックスと報知音を発出し、医師に対して視覚・聴覚で注意喚起することによって、医師が画像を解釈し病変を検出することを支援する。

医師は、袋状の臓器である胃の検査では、内視鏡を曲げたり反転させたりしながら、胃の内部にある臨床的な特徴を有する複数の主要部位(ランドマーク)を観察している。

その観察をサポートする機能として「ランドマークフォトチェッカー」が新たに開発された。

「ランドマークフォトチェッカー」は、胃の内視鏡検査中に静止画像を撮影すると自動的に作動し、あらかじめ設定されたランドマークの静止画が撮影されると、モニターに出ている胃のイラストに撮影完了箇所が表示される。

本機能により、胃内全体が適切に観察・静止画撮影されているかを医師がより意識・確認しやすくなることが期待される。

食道ではBLI観察およびLCI観察モード時に、胃では白色光およびLCI観察モード時に、病変検出機能が自動で起動し、内視鏡側で拡大操作などの追加操作を行わずに、動画の中で本機能を使用することが可能となる。さらに、既設の内視鏡モニター上に検出結果を表示するため、「CAD EYE」専用のモニターを設置する必要はなく、検査中の医師の視線移動を抑制する。

内視鏡システムとの連携を考慮した設計を施し、日常の検査ワークフローに溶け込む操作感を追求し、医師の負担抑制が期待できる。