胃内視鏡検査時に発見されるBarrett食道は、慢性的な胃酸逆流に伴う食道炎が修復される過程で、食道胃接合部(esophago-gastric junction ; EGJ) 領域の本来扁平上皮である食道粘膜上皮が円柱上皮に置換されることによって生じ、腺癌の発生母地になることで知られている。

Barrett食道を背景として発生するBarrett食道腺癌(Barrett’s esophageal adenocarcinoma;BAC)は欧米で急速に増加しており、食生活の欧米化により、今後、本邦においても増加傾向にあると考えられている。

表在型Barrett食道腺癌に対する内視鏡的切除術後の転移リスク、長期予後については不明な点が多く、short segmentBarrett’s esophagus に発生した表在型Barrett食道腺癌における内視鏡的切除術後の経過について検討した結果が報告された。

深達度pLPM以浅かつ脈管侵襲陰性、および純粋分化で深達度pDMMかつ脈管侵襲陰性であれば転移はなく長期予後は良好であった。

また、従来は追加治療の対象と考えられてきたpSMであっても、“深達度SM 1~500Um”、 “腫瘍径30mm未満”、“脈管侵襲陰性”、“DMM以深に低分化癌成分がない”のすべてを満たす症例であれば転移を認めず良好な予後が得られ、今後内視鏡的治癒切除の定義を拡大できる可能性が示唆された。