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Columnコラム

胃内視鏡的切除によるLSBE表在型Barrett食道腺癌の長期予後

胃内視鏡検査時に発見されるBarrett食道は、慢性的な胃酸逆流に伴う食道炎が修復される過程で、食道胃接合部(esophago-gastric junction ; EGJ)領域の本来扁平上皮である食道粘膜上皮が円柱上皮に置換されることによって生じ、腺癌の発生母地になることで知られている。

胃内視鏡によるESDを施行したLSBE(プラハ分類M3以上)由来の腺癌のうち、3年以上経過観察が施行された長期予後を検討した結果が報告された。

結果は腫瘍径中央値36mm、切除径中央値86mmであった。

主病変の深達度はTla-SMM 1例、Tla-LPM 1例、Tla-DMM 12例、T1b-SM1 2例であった。

組織型はいずれも分化型であった。

一括完全切除率は95%で、脈管侵襲(ly、v)はいずれも陰性であった。

そのうち25%において同時多発癌(25%)が認められた。

全周切除例では異時多発癌を認めず、Barrett粘膜の再発も認めなかった。

局所切除のうち約70%は経過観察し、約33%で異時多発癌を認めた。

異時多発癌を認めた症例では残Barrett粘膜が3cm以上と長く、異時多発癌を認めなかった症例では残Barrett粘膜が3cm未満と短かった。

したがって、残Barrett粘膜の面積が広い(M3以上つまりLSBE)ほど異時多発癌を来しうることが推察された。

また局所切除した残りの症例では、異時多発癌の予防目的で、残Barrett粘膜に対しstepwise ESDを施行した。

全例とも術後狭窄やBarrett粘膜の再発はなく、stepwise ESDは異時多発癌の抑制に有用であった。

ESDにて切除したLSBE由来のEAC全例に原病死はなく、疾患特異的生存率は3年、5年ともに100%であった。

また、全生存率は3年、5年ともに100%であった。