食生活の欧米化により、胃酸分泌量が増加し、胃酸逆流による下部食道粘膜炎症を惹起し、食道癌の発生の危険性が上昇する。

欧米だけでなく、本邦でもBarrett食道腺癌(Barrett's adenocarcinoma;BAC)が増加している。

本邦でのBarrett食道の定義では腸上皮化生の有無は関係ないが、米国やドイツでは円柱上皮化生だけでなく、杯細胞を伴う腸型粘膜の存在が必須である。

その理由として、欧米では腸上皮化生から発癌する考えが主流とされ、「No goblets、No Barrett's」の概念が根底にある。

H.pylori(Helicobacter pylori)感染によるに胃底腺の萎縮、偽幽門化生さらに腸上皮化生への変化が胃癌の発生へとつながるように、Barrett食道癌においても腸型粘膜とは関連せず、粘膜に炎症·再生が生ずる過程で発癌する可能性があるのかもしれない。

これら妥当性の証明のためには、SSBE由来のBACだけでなく、LSBE由来のBACも検討し、病理組織学的·遺伝子学的な検証が必要である。