2022.03.11
胃カメラ検査時に発見される食道・胃静脈瘤出血に対する緊急胃カメラ
上部消化管における緊急内視鏡として、食道・胃静脈瘤破裂に対する止血がある。
門脈圧亢進症では、食道静脈瘤(esophageal varices:EV)や胃静脈瘤(gastric varices: GV)を高率に合併する。さらに、肝予備能が低下している肝硬変患者では、EVやGVからの出血によって二次的な肝不全を誘発し致死的になる。
静脈瘤出血と判断した場合には、患者の全身状態をみきわめながら、迅速かつ確実に止血を行うことが必要となる。
EVに対する内視鏡治療には、内視鏡的結紮術(endoscopic variceal ligation:EVL)と内視鏡的硬化療法(endoscopic injection sclerotherapy:EIS)がある。
出血例でもEISが施行されていた時代があったが、EVLの開発以降、EV出血に対する第一選択はEVLであることが広く認識されている。
EVLは手技が簡便であり、肝予備能不良例や腎障害を有する症例にも施行可能である。
一方、GV出血に対しては、cyanoacrylate系組織接着剤(CA)の内視鏡的注入法(CA法)が第一選択とされている。本邦で使用できるCAとして、a-cyanoacrylate monomer (a-CA; アロンアルファ)とn-butyl-2-cyanoacrylate(Histoacryl:HA)があるが、現在、HAが主流となっている。
EVLのデバイスには、ニューモ・アクティベイトEVLデバイス(住友ベークライト社)など各社からさまざまなものが販売されている。
送水機能がついた内視鏡、ならびに誤嚥予防や内視鏡の交換を容易にする目的でフレキシブルオーバーチューブ(住友ベークライト社)を併用する。
このように、さまざまなデバイスが開発されているが、緊急時は、前処値なく、また出血などによる視野不良などの状況で行う必要があり、重要なことは、日常の内視鏡検査において手技の習得を熟練化しておくことである。