2020.12.03
大腸カメラ検査時に発見される非特異的Crohn病
炎症性腸疾患(IBD)のひとつであるCrohn病(CD)は、全消化管に非連続性の肉芽種性炎症を生じる炎症性疾患である。
全層性の腸管炎症をきたすため、腸管狭窄や瘻孔形成し、腹腔内膿瘍などの合併症が発生し、経過中に複数回の腸管外科的切除を施行する症例も少なくない。
定型的な内視鏡所見は、腸管内に縦走潰瘍と敷石像を有するが、潰瘍性大腸炎に類似したびまん性発赤粘膜の併存またはアフタ性病変の多発のみが観察される非定型的CDも存在する。
これらの非定型的CDにおいては、前者では病変の連続性や罹患部位あるいは小腸病変の有無が鑑別のポイントとなり、後者ではアフタ性病変の形態や病変配列に着目することが重要である。
このように、診断基準の主要所見から外れる非特異的CDの診断には、小腸バルーン内視鏡検査が必須となるが、侵襲性が強く頻回の病期判断には苦痛が伴う。
最近では、非特異的CDにおける小腸病変の診断や病変部位の重症度などの判定に非侵襲性のカプセル内視鏡が用いられることも多くなっている。