2020.11.12
潰瘍性大腸炎におけるカプセル内視鏡検査の重要性
潰瘍性大腸炎は、大腸にびらん、潰瘍などの炎症を呈する免疫疾患である。
現在、潰瘍性大腸炎の診断や病勢分類、罹患範囲、重症度などの評価判定には、大腸内視鏡検査が使用されるが、症例によっては年一度の検査が必要となり、侵襲的な大腸内視鏡による負担が大きい。
また、臨床的に重症と考えられる症例では、大腸内視鏡検査による病状の悪化や穿孔などの危険性が伴う。
一方、カプセル内視鏡は、検査時の疼痛を伴わず非侵襲的であり、穿孔などの危険性も伴わない。
炎症部位がびまん性、連続性に広がる潰瘍性大腸炎においては、病変の炎症の程度や罹患範囲などの評価ができれば十分であり、ポリープ切除などの治療がないため、非侵襲的なカプセル内視鏡が適当であると考えられる。
実際、カプセル内視鏡と大腸内視鏡の両者で判定した潰瘍性大腸炎の炎症評価スコアとの高い相関が示されており、カプセル内視鏡によって、大腸の炎症程度を大腸内視鏡とほぼ同程度の精度で判定可能である。
今後、潰瘍性大腸炎の炎症評価にはより一層カプセル内視鏡の使用頻度が求められると思われる。