2020.09.17
胃カメラ検査時に発見されるバレット食道癌とPPI
Barrett食道腺癌は、欧米では食道癌の過半数を占め、顕著な増大傾向にある。本邦においても胃食道逆流症の増加などにより増加傾向にあるが緩徐であり、全食道癌に占める腺癌の割合は約6%である。
Barrett食道腺癌は、炎症により胃食道接合部における食道粘膜である扁平上皮が円柱上皮に置き換わる病変であり、癌の発生に深く関与する。
炎症の強い症例では、Barrett食道が伸長することが報告されており、Barrett食道が1cm伸びるごとに1.11〜1.39倍発癌リスクが上昇する。
酸逆流とBarrett食道は密接な関係を有するため、PPIを長期投与することによりBarrett食道が再扁平上皮化しBarrett食道長が短縮し、メタ解析では、PPIの長期投与で発癌が71%抑制されることが報告されている。
従って、Barrett食道に関しては、PPIの長期投与による副作用の懸念を考量しながら、内視鏡検査による定期的観察が必要となる。