胃カメラや大腸カメラにより発見された早期癌に対し、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が施行されるが、出血に対しRed DichromaticImaging(RDI)が有用である。モード2では、ESD における初期局注時の深部血管を確認し、また、ESD中に出血した際にも出血箇所を明確に同定でき、特に大腸ESDにおいては血管(特に動脈)の視認性の向上が、より安全でスピーディーなESDに寄与する。

なお、大腸ESDについては、病変が右側結腸にある場合や、BMIやHbA1cが高く粘膜下層の脂肪が多い症例において、脂肪に影響されずにクリアな視野を保ちやすいが、特に線維化症例の場合はRDI観察下に粘膜下層剝離を行うと、粘膜下層と筋層の境界が不鮮明となり、穿孔のリスクが上がる可能性があるため注意が必要である。

また、モード1では出血点が視認しやすく、消化管出血症例で有用であると考えられる。特に、滲み出るような出血(oozing)の場合、出血箇所周辺に血液が溜まっている場合、複数の出血箇所がある場合などに、血管や出血箇所の視認性を向上させるとされている。

潰瘍性大腸炎における炎症活動度診断にも有用と考えられ、内視鏡的重症度が軽度~中等度の患者に対してRDIを用いて深部血管を評価することで、白色光ではわからないような炎症性変化をとらえることができる可能性がある。