ほとんどの胃癌はHP感染によって発生するが、いくつかの遺伝性疾患では胃癌の発生リスクが上がることが知られている。

HP感染との関連は十分検討されていない疾患が多いが、HP未感染の正常胃粘膜にも発生する。

遺伝性びまん型胃癌では、印環細胞癌が HP未感染の正常粘膜に多発し、びまん型胃癌に進展する。

家族性大腸ポリポーシス、特にその特殊亜型であるgastric adenocarcinoma and proximal polyposis of the stomach (GAPPS)では、正常胃底腺粘膜に胃底腺型主体のポリポーシスが形成され、これを背景におもに分化型腺癌が発生する。

その他、Lynch 症候群や Li-Fraumeni 症候群、若年性ポリポーシス群症候群、Peutz-Jeghers 症候群などで胃癌の発生リスクが高まることが知られている。