ほとんどの胃癌はHP感染によって発生するが、萎縮のない胃底腺領域に発生する胃底腺分化を示す腺癌である胃底腺型胃癌も認められる。

すなわち、HP既感染であっても除菌後で萎縮のない胃底腺粘膜に発生する例が少なからず存在する。

内視鏡的には粘膜下腫蕩(SMT)様の小隆起病変として認められ、典型的には、表面に拡張血管が認められる。

胃底腺を構成する主細胞や壁細胞型の細胞に加え、腺富上皮や顎部粘液細胞である胃底腺粘膜を構成する細胞への分化を示すことから、「胃底腺粘膜型胃癌」と呼ばれ、悪性度が高まっている可能性を示唆される。

現在のWHO 分類では、粘膜内に限局した症例をoxyntic gland adenomaとし、粘膜下層以下に浸潤した症例(主に胃底腺粘膜型胃癌)をadenocarcinoma of fundic-gland typeと定義している。