Hp(ヘリコバクター・ピロリ菌)の感染率低下および除菌率向上により胃癌発生頻度は低下傾向にあるが、本邦における癌関連死亡の主要な原因のひとつである。

近年、分子生物学的特性に基づいた新たな胃癌分類である分子サブタイプ分類が提唱された。

そのなかで、ゲノム安定腫瘍は、遺伝子変異やコピー数異常ともに少ないサブタイプで、 TCGAの報告では全体の20%を占める。

比較的若年者に多い。

内視鏡的には4型腫蕩の形態を示し、組織学的には低分化腺癌や印環細胞癌が多く、進行癌の予後は不良である。

遺伝子変異、コピー数異常ともに少ないが、このサブタイプに特徴的なゲノム異常として、細胞接着分子であるE-cadherin をコードするCDH1変異、細胞運動や増殖制御を司るRHO4の機能獲得型変異などがある。

現状では、有効な治療方法はなく、今後の研究成果が期待される。