食道癌は早期に発見されば、ESDなどの内視鏡切除により完治が可能であるが、ESD適応であるかの判断として深達度診断は重要である。

大阪国際がんセンターとAiメディカルサービスとの共同開発による食道AI内視鏡診断システムの製品化に向けての開発が行われている。

内視鏡的切除または外科的切除された ESCC 804例から非拡大画像(白色光、NBVBLI、 ヨード撒布画像含む)8,660枚 拡大画像5,678枚を用いて深達度診断 AIシステムを作成した。

収集した画像の内訳はEP/LPM 8,741枚、MM 2,789枚、SM1 616枚、SM2以深 2,192枚であった。

画像に対しては四角のフレームを用いたマーキングを行い、深達度EP-SM1の症例に関しては病変全体をマーキングし、SM2以深症例に対しては内視鏡画像と病理標本を対比し、SM2以深の部位にのみマーキングを行った。

AIシステムのアルゴリズムは, Single Shot MultiBox Detectorを使用した。

内視鏡的切除または外科的切除された表在型食道癌155例を対象とし、症例ごとに3~6枚の評価用画像(非拡大と拡大画像)を用意し、深達度がSM1以浅かSM2以深かの評価を行った。

16名の内視鏡専門医による診断結果をAIと比較した。

非拡大観察によるSM1以浅の診断において、AIは内視鏡専門医と比べ感度が高く特異度が低かったが、これらを合わせた正診率ではAIが内視鏡専門医を上回る結果であった。

一方で、 拡大観察によるSM1以浅癌の診断においては、AIは感度、特異度、正診率において内視鏡専門医と同程度の成績であった。

AIによる診断能力は内視鏡検査応用に可能であると考えられるが、今後は、動画ベースによる診断システムのデータ蓄積および開発が待たれる。