近年、大阪国際がんセンターとAIメディカルサービスとの共同開発により、世界初の食道におけるAI内視鏡診断システムの製品化に向けて開発が行われている。

静止画ベースの第一世代AIとして、AIシステムの非拡大観察では、白色光観察でもNBI/BLI観察でも、内視鏡専門医と同程度の癌に対する高い感度を有しており、NBI/BLI拡大観察による癌、非癌の鑑別においては、 AIシステムは専門医と比べ感度がやや高く、特異度がやや低かったが、精度は AIシステムが77%、専門医が76%と、ほぼ同程度であったとの報告がある。

上記をもとに、動画ベースによるAI評価が行われている。

内視鏡的切除または外科的切除が施行されたESCC 45例と、生検組織所見やヨード染色で非癌と確認された非癌49例、詳細な観察で異常を認めなかった 50例から評価用動画セットを作成し、13名の内視鏡専門医による動画セットの診断結果を AI と比較した。

第二世代AIは静止画1枚あたり0.033秒、30枚を非癌0.99秒で処理でき、1秒間に30枚の静止画が含まれる動画をリアルタイムで診断できる処理速度であった。NBI/BLI非拡大観察においてAIは内視鏡専門医の平均よりも有意に高い感度を有していたが、特異度は内視鏡医の平均よりも劣るもののであった。

NBI/BLI拡大観察の感度、特異度、正診率は、内視鏡専門医と比べて、AIが有意に高かった。

動画による評価で良好な成績が得られたことにより、第二世代AIは、内視鏡検査への応用が可能なレベルにあると判断できる。