食道癌は早期に発見されば、ESDなどの内視鏡切除により完治が可能である。

しかし、早期の食道癌には、上皮下乳頭内血管ループ所見のようなNBIでも発見・診断に苦慮する場合がある。

特に内視鏡医の診断能力の差異による見逃しの危険性に対するAIによるサポートが急務である。

近年、大阪国際がんセンターとAiメディカルサービスとの共同開発により、世界初の食道におけるAI内視鏡診断システムの製品化に向けて開発が行われている。

静止画ベースの第一世代AIとして、内視鏡的切除または外科的切除されたESCC 52 例、食道炎や軽度血管異常などの表在型食道癌と鑑別を要する非癌病変50例、正常粘膜33例の計135例を評価用症例として用意し、症例ごとに白色光非拡大画像、NBI/BLI非拡大画像、拡大静止画像をそれぞれ1~2枚ずつ、計4~6枚抽出し評価用画像とし、15名の内視鏡専門医による評価用静止画の診断結果をAIと比較している。

AIシステムの非拡大観察では、白色光観察でもNBI/BLI観察でも、内視鏡専門医と同程度の癌に対する高い感度を有していた。

一方、NBI/BLI拡大観察による癌、非癌の鑑別においては、 AIシステムは専門医と比べ感度がやや高く、特異度がやや低かったが、精度は AIシステムが77%、専門医が76%と、ほぼ同程度であった。

今後は、動画ベースによるAI診断のデータ蓄積による開発が待たれる。