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Columnコラム

内視鏡乳頭括約筋切開術における穿孔

胆管結石治療などの使用される内視鏡乳頭括約筋切開術(endoscopic sphincterotomy:EST)は、乳頭部にEST用ナイフ(スフィンクテロトーム)を挿入し、高周波電流を用いて切開し、バスケット鉗子などを使用して結石を十二指腸内に摘出する方法である。

EST による出血は早期偶発症として最も多く見られるが、ESTによる消化管穿孔はより重篤になるため注意が必要である。

EST 穿孔の典型例では後腹膜への穿孔となるため、手技中に腎周囲の異常ガス像や,造影剤の後腹膜腔への漏出がみられる。デバイス操作による穿孔では、ガイドワイヤーや処置具が通常と異なる方向へ挿入されることで認識される。

乳頭処置やデバイス操作による穿孔が判明した場合には絶食輸液管理とし、胆汁性腹膜炎や後腹膜膿瘍を予防するために胆道ドレナージ(後日胆管造影も可能であるため、可能なかぎり内視鏡的経鼻胆管ドレナージチューブを留置することが望ましい)を行い、適切な抗菌薬などの薬物投与や胃管留置を行う。

これにより、十二指腸乳頭部近傍や胆膵管の小さな穿孔の場合には、保存的に改善することが多い。

術中は、胆管にドレナージチューブを留置することを優先する。

しかし、内科的保存治療で24時間以内に臨床症状・所見の改善がみられない場合は、躊躇することなく外科的処置を行う。