近年、内視鏡検査による消化管病変の発見・診断時において内視鏡医をサポートするAI技術には目覚しい発展がある。

AIによる内視鏡診断としては、機械学習とディープラーニングがある。

AIは画像認識分野においては、非常に優れた能力を発揮するため、画像や動画から特徴を捉え、対象物を識別するパターン認識技術を有する。

その画像認識の軸となっている技術は機械学習である。

従来の機械学習では、 AIに対して何かを教える際には人間がデータを集計・分析し、定義やアルゴリズムを導き出して、機械に教えていたが、難解な課題における判別の精度は向上しない。

そのため、ディープラーニングという技術を用いたAIによる機械学習は,膨大な量の情報であるビックデータ(教師データ)から、機械が自動的にデータの規則性や判断基準(特徴量)を発見し、AI自身タブで新しいデータを分析・判断する。

ディープラーニングとは機械学習の一つであり、人間の脳の神経細胞ネットワークを模倣し、数理モデル化したものを組み合わせたニューラルネットワークというシステムを用いる。

このディープラーニングにより、データをコンピュータが段階的により深く、自動的に学習することが可能となり、人間が学習する際のパターンをコンピュータ上に再現できることにより、AIによる画像認識は大きく進歩した。

また、ビッグデータによるAI性能の向上がある。

ディープラーニングを用いたAIは自動的に特徴を捉えて学習するため、一般的にその性能は学習量と比例して高くなっていく。そのため期待する性能を得るためにはAIに大量の学習をさせる必要があり、ビッグデータと呼ばれる豊富なデータ群が求められる。

画像認識 AIにおいては、良質な画像・動画群が求められ、識別したい対象物が鮮明にさまざまな角度から認識できるものが望ましい。

さらには、こうしたデータ群に対して、 AIが効率的に学習できるようなデータに変換する作業が必要となる。

次に、コンピュータ診断支援(computer-aided diagnosis;CAD)とは、X線画像に代表される放射線画像、内視鏡画像をはじめとする医用画像に対して、コンピュータで定量的に解析された結果を“第2の意見”として利用する“コンピュータによる診断の支援”である。

その中でも特に医用画像診断支援システムは有用であり、病変検出支援機能(computer-aided detec-tion; CADe) や鑑別診断支援機能(computer-aided diage nosis ; CADx) がある。