大腸内視鏡検査時における最も重要な偶発症である穿孔は、ほとんどが外科的手術の適応となる。

その危険性は、特に手術歴のある高度癒着症例において顕著である。

その場合に、保険適応であるカプセル内視鏡(CCE)は検査時の疼痛や穿孔の危険性がなく、安全な検査法として次代の大腸検査法として注目を浴びている。

欧米におけるガイドラインでは、初回CCEで所見が認められなかった症例では、5年ごとにCCEを繰り返すか、または別のスクリーニング検査での経過観察が推奨されているが、そのエビデンスは限定的である。

今回、CCEにおける経過観察のデータについての報告がなされた。

初回CCEでの無所見症例における観察期間の平均は、0,3年から5年であり、最終経過観察方法が大腸内視鏡検査においては、約20%に小ポリープが認められ、場所は深部大腸、病理診断は75%が腺腫であり、癌病変は認められなかった。

CCEにおける経過観察症例では、全例ポリープ・癌病変は認めなかった。

このように、初回CCE後有意病変陰性症例の経過観察においては、high grade adenoma、癌、死亡例は認めず、穿孔などの危険性を伴う大腸内視鏡検査困難症例に対するFirst CCEによる有意病変検索は安全で有用な検査法である可能性が示唆された。