炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎において、長期炎症持続による癌化はFOLLOW時の重要な合併症であり、潰瘍性大腸炎関連癌(Colitis-associated colorectal cancer ; CAC)と呼ばれ、近年増加傾向にある。

疾患活動範囲は、全大腸炎型に多いが左半結腸炎型や直腸炎型に認められる場合もある。

年齢は、高齢者に多く、検査間隔が3年以上あくと外科的手術や化学療法適応になる段階まで進行している場合があり、罹患期間が短い症例でも、特に高齢発症の場合は潜在的に長期経過している可能性があり注意を要する。

そのため、長期罹患症例や全大腸炎型などの高リスク症例においては、臨床的に寛解維持されている症例であっても定期的なサーベイランスが重要と考えられる。

また、潰瘍性大腸炎におけるCACの背景因子として、不十分な5-ASA投与量、ステロイド投与の既往が可能性としてあげられる。

このように、潰瘍性大腸炎の経過観察において、CACの発見・診断は非常に重要であり、罹患範囲に隆起、色調変化、陥凹などが観察される場合は、特殊光・色素観察を行った後、狙撃生検を施行することが必要となる。