2020.11.02
胃カメラ検査時に発見されるH.pylori未感染胃癌における特徴
胃癌のほとんどはH.pylori感染により発症する。
しかし、胃癌全体の中で約1%にH.pylori未感染胃癌が存在し、その多くは未分化癌であり、またその中でも印環細胞癌が最多である。
H.pylori未感染症例の内視鏡的特徴として、現感染症例や除菌後症例と比較して0-Ⅱb型が多い。この原因は、未感染症例では増殖能が低く、増殖帯にのみ腫瘍が存在している場合が多く、癌が表面に露出せず陥凹を形成しないためであると考えられる。
また、NBI併用拡大観察では、現感染症例と比較して、窩間部開大所見が多く範囲診断正診割合が高い。
また、病理組織学的特徴としては現感染症例と比較して腫瘍径が小さい。
このように、H.pylori未感染胃癌では、小さな表面発赤を呈する病変が多いが窩間部開大所見を認めるため切除範囲診断は容易であるが、印環細胞癌が多いため切除範囲設定には慎重を要する。