2020.08.17
免疫チェックポイント阻害剤スイッチ療法による副作用
PD-1(Programmed cell Death 1)は、活性化T細胞表面に発言する受容体のひとつで、抗原提示細胞の表面上に発現するPD-L1(Programmed cell Death 1- Ligand 1)と結合してPD-1が活性化されると、T細胞は標的細胞への攻撃を中止する。
癌細胞は、このシステムを利用し、自分の細胞表面上にPD-L1を出し、T細胞からの攻撃を避けている。
PD-1、PD-L1に対する抗体製剤であるニボルマブは、免疫チェックポイント阻害薬として、PD-1とPD-L1が結合するのを妨げることにより、T細胞が癌細胞を攻撃できる効果を有する。
CTLA-4はそのリガンドであるB7-1(CD80)、B7-2(CD86)と結合し免疫寛容を惹起する。抗CTLA-4抗体であるイビリムマブは、ニボルマブ同様の機序により抗癌作用を持ち、ともにステージ4などの難治性癌に使用される。
癌治療における免疫チェックポイント阻害剤の使用は、単独よりも併用、スイッチ療法で良好な生命予後が得られており、臨床効果が高いことが示唆されているが、同時に免疫有害事象も報告されている。
特に、内視鏡所見として、潰瘍性大腸様の大腸炎を認め、ステロイド投与の早期介入で速やかに改善する。
しかし、以上のような副作用を呈するものの、転移を有する難治性癌は生命危機に直結するため、免疫チェックポイント阻害剤の中止に関しては慎重でなければならず、今後のデータの検証が必要である。