2020.08.07
大腸カメラ検査時のEMRとCSPの比較検証
従来のEndscopic Mucosal Resection(EMR)は、特に平坦病変に対し、粘膜下層に生理食塩水などの液体を注入し病変部を浮き上がらせた後、高周波電流で焼却切除する方法である。
Cold Snare Polypectomy (CSP)は、高周波電流で焼灼せずポリープを切除する方法であり、遅発性出血と穿孔の危険性がほぼ皆無であることが大きなメリットとなり、9mm以下の非有茎性大腸ポリープの治療として、近年普及の速度には目覚ましいものがあるが、切除断端の判断と再発の問題がある。
今回、CPSとEMRの切除標本を病理学的に比較検討したところ、CSP標本で断端評価困難例を多く認めたとの報告がある。
その理由として、切除標本が薄く、検体の強度が弱いため吸引回収時に分裂しやすい。
また、EMRで切除する深度は粘膜下層であるのに対し、CSPでは粘膜下層を含まず粘膜筋板レベルの浅い切除であるため、VMX/+となる場合が多い。
そのため、平坦病変、特に粘膜下層深部浸潤そしてリンパ節転移が予想される平坦病変に対しては、CSPによる切除は慎重を期すべきであり、今後さらなる検証が必要となる。