PD-1(Programmed cell Death 1)は、活性化T細胞表面に発言する受容体のひとつで、抗原提示細胞の表面上に発現するPD-L1(Programmed cell Death 1- Ligand 1)と結合してPD-1が活性化されると、T細胞は標的細胞への攻撃を中止する。

正常な体内では、このPD-1/PD-L1のシステムを使って、T細胞が誤って自分自身の細胞(自己)を攻撃しないようにコントロールしている。

癌細胞は、このシステムを利用し、自分の細胞表面上にPD-L1を出し、T細胞からの攻撃を避けている。

そこで、PD-1、PD-L1に対する抗体製剤であるニボルマブなどは、免疫チェックポイント阻害薬として、PD-1とPD-L1が結合するのを妨げることにより、T細胞が癌細胞を攻撃できる効果を有し、最近は、ステージ4などの難治性癌に対し投与されることが多い。

しかし、既存薬剤では認めなかった免疫関連有害事象が報告され、そのひとつに大腸炎がある。

下痢・腹痛・血便などの症状を呈し、内視鏡所見としては粘膜発赤・びらん・潰瘍・管内出血が認められる。

また、病理学的所見としては、陰窩膿瘍や陰窩上皮のアポトーシスなどが認められる。

以上のさまざまな副作用の発生については、今後さらなる検証が必要となると考えられる。