2020.08.18
大腸カメラ検査時に発見されるベーチェット病における遺伝子異常
ベーチェット病(BD)は、口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍、外陰部潰瘍、皮膚症状、眼症状の4つの症状を主症状とする慢性の全身性炎症性疾患である。
個々の症状が消失と再発を繰り返すのが特徴の1つであり、4つの主症状のほかに、副症状として消化器症状、神経症状、血管炎症状などが出現する場合がある。
一方、骨髄異形成症候群(MDS)は、造血幹細胞において後天的に獲得された多段階の遺伝子変異が蓄積する事により発症する疾患であり、3種類の血液細胞(赤血球、血小板、白血球)の造血幹細胞に異常が発生し、赤血球、血小板、白血球がそれぞれ成熟する3系統の過程に同時に異常が発生する場合だけでなく、まずそれぞれの過程に異常が生じて、次第に3系統へと進行していく場合もあり、その血球異常により固有の症状が出る。
このMDSの半数に染色体異常が指摘され、その中でもtrisomy8は約10%に認められる。
近年、BDにおいて、trisomy8陽性のMDS合併が認められ、その場合、眼病変は少ないが腸管合併症を有する率が非常に高いとされている。
治療としては、trisomy8陽性の場合はインフリキシマブに抵抗性を示すがアダリムマブが有効であるとの報告がある。
今後、BDにおける治療の選択のためにも、trisomy8をはじめとした遺伝子異常の検索が必要となると考えられる。