大腸癌は早期で発見できれば非常に予後の良い疾患である。

エクソソームは、ほとんどの細胞から分泌される直径 50nm ~ 150nm 程度の膜小胞で、内部にmicroRNAなどが含んでおり、癌の種類によってエクソソーム内のmicroRNA量が健常者とは異なることが明らかになっている。

まず、癌細胞から分泌されたエクソソームは、血液を介して他の臓器に到達する。その後、血液中に出てきた癌細胞は他臓器に付着したエクソソームを目印にし、その組織に転移巣を形成する。

エクソソーム由来のmicroRNAは癌のバイオマーカーとして注目されており、miRtest(ミアテスト)は、各臓器から血液中に放出される疾患特異的な因子(microRNA)という分子を検査する方法である。

microRNAには3000以上の種類が存在し、血液中には種々の細胞から約300以上のmicroRNAを含むエクソソームが分泌され、疾患特有のmicroRNAの量が増減するため、この変動を検査することにより癌の早期発見が可能である。

従来の腫瘍マーカー、例えばCEAは大腸癌が進行するまで上昇しないため、大腸癌の早期発見は不可能であったが、miRtestにおける血中microRNA量は大腸癌のステージや大きさには依存せず、腫瘍マーカーや画像検査でも発見不可能なステージ0レベルの癌を発見することができ、今後、早期診断、治療方法や予後判断などに広く普及していくと考えられる。

これにより、miRtestによる大腸癌を早期の段階で発見することは、大腸癌の予防になり、また侵襲性の高い内視鏡検査などを限定的に選択できる診断・治療体系の確率に繋がると考えられる。