2020.07.28
解剖学的理論に基づく大腸CT撮影法
大腸CT検査は、前日の造影剤と下剤の服用による前処置後に肛門より二酸化炭素の送気だけで撮影する非侵襲的検査法である。
病変の診断精度も大腸内視鏡検査と遜色なく身体に優しい検査である。
腸管全体に送気を行い、CT画像を撮影し、コンピューター処理により全大腸を構築し、診断を行うため、空気による拡張がない腸管の観察はできない。
そのため、送気量や送気法には経験を要し、特に体位による腸管内の空気移動は重要である。
撮影体位にはさまざまな意見があるが、当院では次のように行っている。
全腸管に空気を行き渡らせ適度な拡張・伸展を行うが、時間経過とともに回盲部の空気は小腸へ流入し、回盲部は拡張不良に陥る。
解剖学的に回盲部および上行結腸は、左側臥位では肝湾曲部より上部やや腹側に位置するため上行結腸内部の空気が集まりやすい。
そのため、まず左側臥位により回盲部を拡張させて撮影し、診断のための回盲部および上行結腸画像を担保しておく。
次に、空気量が全腸管に平均に行き渡る仰臥位による撮影を行う。
うつ伏せでは、横行結腸は中央付近が肝・脾湾曲より下方に位置するため、拡張不良が発生し、RSjunction付近のS状結腸も口側腸管より下方に位置するため伸展不良が起こる。
したがって、左側臥位と仰臥位の体位でほぼ腸管情報は確保できるが、個人差があるが、下行結腸下部とSDjunctionの伸展不良が発生する場合がある。
それを防ぐため、最後にSDJが最上位にくる右側臥位で撮影を行う。途中にSDJ付近の腸管の拡張不良があっても、この体位であれば周囲の残存空気が全てこのエリアに集中するため良好な画像が撮影できる。