炎症性腸疾患(Inflammatory bowel disease(IBD))とは免疫機構の異常により免疫細胞が腸管細胞を攻撃することにより腸管に炎症を引き起こす疾患で、主に潰瘍性大腸炎とクローン病の2種類がほとんどを占める。

多くは15歳から35歳頃に診断されるが、乳幼児期を含む小児期に発症することも稀ではない。

小児期に発症した場合は両者の区別がつかない分類不能型炎症性腸疾患の割合が成人と比較して高く、炎症のタイプや治療反応性も多彩なため不均一な集団であると考えられてきたが、特に幼年期以前に発症する超早期発症型炎症性腸疾患では遺伝的要因が大きく関与することが明らかになってきた。

次世代シークエンサーの出現により、腸上皮バリアや免疫応答に関与する遺伝子解析が行われ、原因遺伝子として同定され、多くが免疫に関与する疾患である。

これらの疾患は免疫不全を伴わない自己炎症性疾患が含まれるため、IBDと区別してIEI(Inborn errors of immunity)と総称される。

例えば、XIAP欠損症やIL-10受容体遺伝子異常症などのIBD様腸症状を呈するために従来は通常のIBDに準じた診断・治療が行われてきたが、IEIという概念に基づいた遺伝子解析からのアプローチが望ましく、今後、前述以外にもIBD内に隠れたIEIを特定することが期待される。