短波長の光では粘膜表層の情報、長波長の光では粘膜下深部の情報を反映し、415nm、540nmの波長を使用することが最も病変の視認性を向上するため、415 nm、540 nm を中心とした短波長の狭帯域を(Blue Light)を利用したNBIシステムがある。

NBIモードで発せられたBlue Lightの大部分は血管内を流れる赤血球の中のヘモグロビンに吸収され、血管が黒茶色に描出される。

この性質を利用して消化管病変の発見・診断に使用されている。

食道の表在癌は、

従来の白色光観察では発赤や血管透見の消失などによって存在診断が行われてきたが、その発見は比較的困難である。

拡大内視鏡とNBI を比較検討し、NBI による遠景観察で境界明瞭な茶褐色の領域(well-demarcated brownish area)を認め、NBI 併用拡大観察によって茶褐色の領域内に異常な毛細血管パターン(irregular microvascular patterns)がある場合は内視鏡的に表在癌と診断するとしている。

胃の表在癌においては、

分化型腺癌と未分化型腺癌での微小血管パターンの違いによる組織型診断の可能性が報告されており、陥凹型胃癌の良悪性の鑑別において、微小血管の拡張(microvascular dilation)、微小血管の形状不均一(heterogeneity) により診断の感度特異度が非常に高くなると報告されている。

大腸表在癌においては、

NBIや併用拡大内視鏡を用いることで微小な癌の存在部位が発見しやすいが、従来の白色光内視鏡でもさほど難渋することなく病変の指摘は可能である。

また、NBI拡大観察は、色素内視鏡に匹敵することが報告されているが、色素拡大観察による pit pattern 診断の方がわずかに正診率が高いとされている。