2020.09.05
胃カメラ検査時に発見される食道癌(ステント留置)
食道癌の進展形式は、粘膜から発生した癌は隆起しながら周囲へ広がりやがて狭窄を呈する。
食道外部この狭窄症状である嚥下困難(つかえる感じ)はかなり進行した場合でも出にくい場合が多い。
そのため、症状発生により上部内視鏡検査を施行した場合は、すでに食道周囲組織と強固な癒着や遠隔転移を起していることが多い。
また、進行すると深部から外膜へと広がり、気管や大動脈などの周囲の臓器にまで直接浸潤したり、食道周囲リンパ管や血管から肺、肝臓などの他臓器へ遠隔転移するため、化学放射線療法(CRT)後手術施行となるが、CRTによる効果がない場合や遠隔転移を伴う手術不能症例ではやがて高度狭窄をきたし、食事の摂取ができなくなる。
その場合はステント留置が必要となる。ステント留置のためには、経鼻内視鏡を用い病変部を直接確認した後に、造影剤を注入しX線透視装置で狭窄の状態を評価する。
その後、狭窄部にガイドワイヤーを通過させてから内視鏡を抜去し、X線透視装置で確認しながらガイドワイヤーに沿って滑らせるようにして狭窄部に金属ステントを留置する。約1週間かけてステントはゆっくり拡張し通過障害を改善させる。
このステント留置により食事摂取の再開などのQOLの向上が得られるが、CRT後に高度狭窄が残存する症例にステント挿入した場合には、出血、穿孔、縦隔炎が発生することにも注意が必要である。