胃癌患者のほとんどにピロリ菌感染または感染既往があり、除菌により胃癌発生の危険性は減少する。

現在、保険適応になっている除菌療法は、抗菌薬であるアモキシシリン・クラリスロマイシンとプロトンポンプ阻害薬(PPI)との3剤併用で行われる。

除菌治療におけるPPIの役割は、ピロリ菌の抗菌薬に対する感受性を高めて抗菌薬の作用を維持するためには、胃内をpH5以上に保つ必要があるためであり、同時にPPI自体もピロリ菌に対して抑制的に作用するためである。

しかし、PPIは血中半減期が短く、効果の立ち上がりが緩徐である特徴があり、さらに代謝酵素であるCYP2C19の遺伝子多型により血中濃度の維持が困難な日本人には持続的かつ有効な胃内pHを保つことに課題も多い。

高用量のPPI併用時に除菌率は高くなることからも、より強い酸分泌抑制効果のPPIの開発が期待される。