分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤は、転移などを有する難治性癌に対し著名な効果をもたらす場合がある。

しかし、副作用などの有害事象を伴うことも多く、慎重な投与が必要である。

分子標的薬においては、ベバシズマブに代表される血管内皮増殖因子阻害薬などの血管新生阻害薬では稀に消化管穿孔をきたす場合がある。

明確な作用機序は解明されていないが炎症と創傷治癒遅延が関連している可能性があり、致命率が高いため発現時は手術を含めた迅速な処置が急務となる。

また、免疫チェックポイント阻害薬においては、活性化したT細胞が全身の臓器に免疫反応を起こすことにより、非常に多彩な免疫関連有害事象を惹起する。

特に、消化器系副作用については、下痢、血便、腹痛などがあり、自己免疫疾患と似た症状を呈するが、急速に進行して消化管穿孔などをきたすことがあり、注意が必要である。

このように、現在、脚光を浴びている上記癌治療薬には、消化管穿孔という重篤な合併症を伴うことがあるため、大腸内視鏡検査による炎症所見や病理検査などにより、投与および経過観察には慎重な判断が求められる。