胃カメラ検査や大腸カメラ検査時に発見される粘膜下腫瘍には、GISTなどの切除適応の悪性腫瘍が存在するが、粘膜下腫瘍は胃や大腸内壁にあるため、外側からの観察では正確な病変部位が判断できず、取り落としがないように患部を中心に比較的大きく切除するが、そのため患者に大きな負担がかかるとされる。

今回、医療機器メーカー「NIREC(ニレック)」と高知大学との共同開発により、近赤外線を活用した「光線医療」と呼ばれる新たな医療技術が開発された。

近赤外線とは波長が長く人間の目には見えない光のこと。皮膚や筋肉など人の体の一部をすり抜ける性質を持ち、人体に無害で長時間浴びても影響はないとされる。

近赤外線を当てると光る性質を持つ液剤「インドシアニングリーン」を使い、リンパや血液の流れも見えるようにし内視鏡を操作しながら、近赤外線を当てると光る樹脂をクリップで患部に取り付ける技法を編み出した。

執刀医は開腹手術の際に近赤外線を照射することで、手元のモニターで患部の位置を性格に把握することができ、ピンポイントで切除することができるようになった。

今後、この技法を応用し、胃や大腸以外のがんにも活用できる医療機器の開発が期待できる。