いわゆる不定愁訴と診断される病態のなかに、小腸機能障害がある。

過敏性腸症候群、慢性偽性腸閉塞に代表される小腸運動障害と、小腸の栄養吸収機能が破綻する蛋白漏出性腸症の2種のカテゴリーに分類できる。

これらは慢性経過をたどることが多く、病態が十分に把握されておらず、著効する治療方法も明らかでない。

小腸は三大栄養素の吸収、消化の中心的役割を担っている。

その機能に障害が生じると蛋白、脂肪成分の吸収不良が起こり、下痢や低蛋白血症がみられる。

小腸運動障害では原発性の慢性偽性腸閉塞と、強小腸造影ではcoiled-spring appearanceといった拡張した腸管とKerckringひだが密である所見、漏出した粘液により小腸粘膜表面が不明瞭となる朦朧像を認めることがある。