小腸潰瘍は小腸内で多発する場合が多いため存在診断には苦慮することはないが、質的診断については困難な場合がある。

血管性病変はangiodysplasiaなど特徴的な内視鏡診断で確定診断できることが多く、腫瘍性病変は病理学的に確定診断される場合が多い。

他の憩室性疾患や全身疾患に伴った小腸病変、寄生虫疾患も診断が可能である。

一方、潰瘍性病変は内視鏡診断、生検診断、培養検査、他の追加画像診断といったあらゆる診断技術を駆使しても最終診断が得られない場合も多い。

小腸潰瘍は、①特発性炎症性疾患、②感染症、③腸管虚血、④医原性疾患、⑤全身疾患その他、に分類される。

特に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)小腸傷害、腸管型 Behcet病、腸Tbは内視鏡像が似ているため、他検査もあわせ総合的に診断を行うべきである。

小腸型Crohn病は、診断において腸間膜付着側の縦走潰瘍や敷石状外観を認めれば判断できるが、典型的でない場合もある。

空腸側の潰瘍は輪状傾向を示すことが多く、NSAIDs病変、非特異性多発性小腸潰瘍症(CEAS)やTbとの鑑別が必要であり、また回腸末端には病変を認めず、中間の小腸にのみ潰瘍が多発するケースも経験される。