小腸出血が疑われた際、特に顕性出血は早めに診断にまで至る必要がある。

そのため問診から年齢と基礎疾患によって4つのカテゴリー(50歳未満・以上、基礎疾患の有・無)のどの群に該当するか考え、その群に頻度が高い疾患を想定し、検査手順を組み立てることが重要である。

①基礎疾患(慢性腎不全、門脈圧亢進症、心血管障害、他重症疾患)を有する場合は血管性病変をまず念頭におきCTとカプセル内視鏡(CE)を優先する。

②基礎疾患がない場合、若年ではMeckel憩室やCrohn 病が疑われる。

特に若年男性では原因不明の消化管出血精査で実際は骨盤内回腸のCrohn病小腸病変、初回診断例からの出血例でCE滞留が多いため、このような背景があれば出血精査であってもPCを加えたCEか経肛門的バルーン内視鏡(BAE)を検討する。

中年以降であれば結核(Tb)、薬剤性腸炎、腫瘍性疾患が多いためX線やCTを検討しつつCEを考える。

その他、CEで異常所見があれば病変に近いルートからBAEを行い、止血を試みる。

顕性出血の場合は出血から小腸検査までの時間が診断能に重要であるため、胃・大腸検査の後可能な限り早めに施行する。