小腸疾患に対してバルーン内視鏡が臨床現場に登場して約20年になる。その後、カプセル内視鏡の導入によって小腸疾患の病態が明らかとなり、診断能が向上した。

しかしながら、発症から診断までに時間が掛り診断自体に苦慮することが多い。

小腸の病態は大きく小腸出血、小腸腫瘍、小腸狭窄、炎症、機能障害のカテゴリーに分けられ、これらは互いにかかわりあって病態が形成されている。

小腸出血は基礎疾患と年齢によりある程度想定疾患をリストアップして診断を進めるが、上下部内視鏡検査による除外診断から小腸に限定を行い、その上でカプセル内視鏡により確定させる。

小腸腫瘍は悪性リンパ腫、GIST(消化管間質腫瘍)が多いためCTとカプセル内視鏡を初回検査として検討する。

炎症性疾患は肉眼形態が類似する疾患が多いため経過や上下部内視鏡検査なども含めて診断する。

機能障害は腸管運動異常と蛋白漏出性腸症に大別される蛋白漏出性腸症は低蛋白血症と糞便中α1-アンチトリプシンクリアランスの上昇、もしくは蛋白漏出シンチケラフィーにより診断を得る。