大腸カメラ検査時に発見された早期大腸癌に対する治療法であるESDが広く普及しているが、安全で確実な大腸ESDを行うためには、良好な視野を維持することが必須である。

そのため、剥離を進めていくにつれ病変部を展開させるS-Oクリップ以外に、糸付きクリップなど様々なトラクションデバイスが工夫されている。

まず、クリップ装置を鉗子口より挿入し内視鏡先端からクリップ装置を出しておく。

ショートクリップをクリップ装置に装塡する。

クリップを半開きの状態にして、糸をクリップの腕の付け根に結ぶ。

クリップ装置先端をいったん鉗子チャンネル内に戻す。

このように、糸付きクリップの主な利点は、①粘膜下層の視認性が良好になること

②剝離面に適度なテンションがかかるため剝離時間の短縮が期待できること

③簡便である

このように、さまざまな施設で工夫がなされ、ESDは安全で迅速に行われると考えられる。