NBI(Narrow Band Imaging:狭帯域光観察)搭載の経鼻胃カメラ検査の普及により、食道・胃癌が早期の段階で発見される機会が増え、同時に鼻腔から咽頭・喉頭領域の癌の発見率も増加している。

患者のQOLの維持や生命予後の延長のためには低侵襲治療である内視鏡切除適応である早期での診断・治療が増加している。

早期咽喉頭癌においては、化学放射線治療に代わる治療として、手術支援ロボットを用いた経口的切除術(transoral robotic surgery:TORS)が海外で徐々に普及し、良好な腫瘍学的成績や機能温存が報告されている。

本手術は、本邦においては、まず単施設での臨床研究から始まり、その後、2013年から手術体制の整った鳥取大学、京都大学および東京医科大学の3施設において、先進医療B制度下での多施設臨床試験が行われ、その結果をもとに、2018年8月に頭頸部領域(経口手術)に適応拡大された。

その後、日本頭頸部外科学会および日本耳鼻咽喉科学会の指導のもと、耳鼻咽喉科·頭頸部外科におけるロボット支援手術に関わる医師の資格基準,施設要件およびロボット支援手術機器の適正使用指針が定められ、運用が開始されている。

今後、NBI胃カメラの普及により咽頭領域癌が早期の段階で発見される率が向上し、TORSの普及により低侵襲手術が可能となると考えられる。