2022.11.01
胃カメラ検査時の咽頭表在癌に対する内視鏡診断
限られた範囲(狭帯域)の2種類の波長(390~445nmと530~550nm)を照射して粘膜を観察する方法であるNBI(Narrow Band Imaging:狭帯域光観察)搭載の経鼻胃カメラ検査の普及により、食道・胃癌が早期の段階で発見される機会が増え、同時に鼻腔から咽頭・喉頭領域の癌の発見率も増加している。
咽頭から食道にかけて、胃カメラ挿入時に通常観察で行い、抜去時観察にはNBIを使用することにより特に咽頭や食道上部の早期癌を発見しやすい。
このように、患者のQOLの維持や生命予後の延長のためには低侵襲治療である内視鏡切除適応である早期での診断が望ましい。
咽頭表在癌を効率よく発見するには、代表的なリスク因子が食道癌·頭頸部癌の既往や飲酒·喫煙歴であることに加え、下咽頭が好発部位であることを意識することが肝要である。
また、咽頭観察には咽頭反射や解剖学的死角などの問題点があるが、ペチジン塩酸塩は咽頭反射抑制に寄与し、患者の負担を軽減しつつ咽頭観察の質を向上させる。解剖学的死角は発声や適切な患者の姿勢、Valsalva法によって影響を緩和することができる。
Valsalva 法がうまく機能しない症例では、超軟性フードも下咽頭領域の観察に有用である。