2022.10.28
胃カメラ検査時に発見される咽頭表在癌に対する病理組織学的診断
胃カメラ検査の普及により、食道・胃癌が早期の段階で発見されるようになっている。
同時に経鼻胃カメラの使用が増え、鼻腔から咽頭・喉頭領域の癌も可能となっている。
また、限られた範囲(狭帯域)の2種類の波長(390~445nmと530~550nm)を照射して粘膜を観察する方法であるNBI(Narrow Band Imaging:狭帯域光観察)が開発され、咽頭表在癌の発見に寄与している。
このように、扁平上皮乳頭層の毛細血管(IPCL)を描出する狭帯域内視鏡検査(NBI)が利用されるようになり、頭頸部領域において早期の表在性扁平上皮癌が検出されるようになっている。
咽頭癌は、外科的適応段階で発見された場合、発声や嚥下といった生理機能を失うため、これらの生理機能を保持する内視鏡的早期発見・治療は多大なる恩恵をもたらす。
一方で、完全切除がなされても低頻度ではあるもののリンパ節転移を来す症例も存在する。
解剖学的に粘膜筋板のない頭頸部領域では、粘膜筋板が存在するような壁構造を細分類することが可能な食道をはじめとした臓器のように層構造別にリンパ節転移の頻度を提示することはできない。
代用として、tumor thicknessが使用されており、「TNM分類 第8版」では、中咽頭癌および原発不明癌についてはHPV関連か否かについての判定が病理組織学的診断に求められており、今後、さらなる治療指針の決定に関係する咽頭における病理組織学的診断についてのデータ蓄積が必要となる。