大腸カメラ(内視鏡)検査の普及により大腸癌の早期発見率が向上しており、また内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)の技術の進歩により、早期大腸癌に対してESDを施行する頻度は増加している。

しかしながら、早期大腸癌ESD後に切除標本により深部浸潤などの評価で外科的追加切除が必要なる場合がある。

そのため、切除標本に対する慎重な取り扱いは非常に重要である。

適切な病理診断を得るために、切除標本に対し内視鏡医が積極的に関わっている施設もあり、その取り扱い手順などが公表されている。

まず、病変切除後速やかに標本固定用のボードに不錆針を用いて伸展した状態で貼り付けを行い、10%中性緩衝ホルマリン液にて固定する。

その後、すべての切除標本を実体顕微鏡下で表面構造を観察し、関心領域がプレパラート上で観察可能となるように内視鏡医自らが切り出しを行ったうえで、標本作製を病理部門に依頼している。

適切な標本の取り扱いは、正しい診断にたどり着くための欠かすことはできない重要なプロセスの一つである。

詳細な検討が可能な状態で標本を提出することは内視鏡医の責務である。