胃・大腸内視鏡検査時に良性・悪性腫瘍に遭遇することが多いが、ほとんどは肉眼的観察で判断可能な場合が多い。

しかしながら、境界領域病変や稀な特殊病変における病理診断の役割は重要であり、臨床医と病理医との連携は非常に大事になる。

臨床医が前向きに診断する際に診断に苦慮する所見としては、

・粘膜下腫瘍 (submucosal tumor;SMT)病変

・周囲との変化に乏しい病変(境界不明瞭な病変、H.pylori(Helicbacter pylori)除菌後および胃型腫瘍や胃底腺型腫瘍など含む)

・通常見かける形態とは異なる形態の病変(初めて見るような病変など含む)

・生検部位に難渋する病変

・潰瘍性病変の周囲に粘膜異常を認識しにくい病変

などが挙げられ、診断を生検結果に委ねるところが大きい。

この場合、適切な生検材料が採取されていることが前提となる。

生検申込時に病理医に伝える際に注意すべき点として、

・患者の情報(現病歴や家族歴、既往歴なども必要な場合には付記する)

・病変の部位(生検採取臓器も含め)、大きさ、形態、色調など

・病変の生検部位(背景粘膜の状態:H.pylori未感染、萎縮の状態、除菌後、A型胃炎、まだら不染、Barrett食道など)

・生検の目的

・考えうる臨床診断・鑑別診断

以上の情報を一方的に病理医に伝えるだけでなく、臨床画像なども含め緊密な連携が必要である。